にっき

日々の雑多な記録。

20221007

自分の感受性くらい   茨木のり子

 

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

 

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

 

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

 

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

 

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

 

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ