父の記憶。
顔は写真の顔しか知らないし、声も覚えていない。
声を覚えてないからか、夢に出てきてくれても話してくれない。
ゲームと釣りが好きなことしか分からない。
北海道に旅行に行ったのが最後。
飛行機で隣の席に座るのが何だか恥ずかしかったのは、入院していつも居なかったから接し方が分からなかったから。
いつも居ないけど、確かな愛情と懐かしみはいつも感じていた。
父は、私が小学校にあがる前の年の12月に逝ってしまった。
二度と会えないのだと思ったら、泣けた。
心に感情が追いつかなくて、涙が出なかった。
嘘泣きだと言われた。
私が元気でいないと母が悲しむと思ったから、元気にしていた。
涙ばかり流し、味方が居なくなった家で小さくなっている母を見るのはつらかった。
何で死んでしまったのか、と問うばかりであった。
それも寿命だと理解するのは少し先だった。
父とはもっとお話ししたかった。
お酒も一緒に飲みたかった。
いつか。
そう願っても、いつかは来ない。
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面影を想いながら生きるのは空虚か。